西加奈子「きいろいゾウ」を読んでみて、男女の違いを愛そうと思った話

西加奈子 きいろいゾウ 感想 評価 口コミ

実は最近まで小説…苦手でした。絶対読まないんだから!ってわけではないですが、作り話よりエッセイの方がいいに決まってると思っていました。

そんなわたしの横っ面をひっぱたいてくれた作品が西加奈子さんの「きいろいゾウ」今回で再読3回目になります。

本との出会いも半年ほど前、妹の本棚から借りパ…お借りしたのがきっかけです。妹よ、ありがとう。

夫婦をかたちづくる男と女の違いが愛おしい

本というのは、どこかしらで落ちる瞬間があります。恋に、落ちる。わたしは第1章1行目で、それはもう落ちてしまいました。だって、浴槽でカニ茹で上がっているから。

きいろいゾウ」は都会から田舎に引越してきた若い夫婦の物語です。夫は武辜歩で「ムコ」、妻は妻利愛子で「ツマ」、笑ってしまうようなネーミング!でも読み進めていくと、ツマとムコさんの夫婦生活を覗き見ているような、不思議な感覚に陥ります。

わたしが好きなところは、ツマが圧倒的に、月の満ち欠けに支配されている人だということ。女性特有の、隠しきれないあの不安定さ。作者が女性だからこそ捉えている、苦しみと理不尽さ。とても惹かれました。

 

我慢してたのに、涙が出てくる。ますます腹が立った。こんなこと言いたいんじゃないのに。

 

起こった物事に対して、感受性豊かに受け入れる女性と、冷静に判断をして受け取る男性。その違いが、ツマの気持ちとムコの日記から垣間見えて、それがわたしはとても不思議で、身に覚えがありあまって(笑)とても面白かったです。

今までどこかで"女性と月の満ち欠けは関係がある"と聞いたことはあるけど、でも実際に支配されている人なんているんだろうか?と思っていたんですが、いました。それも家族に。

私「妹ちゃん、今日はブルームーンだよ!(7月くらい)」

妹「一瞬見たけど…わたし満月だめなんだよ。気持ちがいっぱいいっぱいになって…疲れたからもう寝るね。」

"愛する"とは、過去も受け入れること

当たり前なことなのに、 それを思い出させてくれる作品です。何度読んでも、心にぎゅーっと、何かを残してくれます。それは苦しみも悲しみも、すべてひっくるめた幸福。とでもいうのかな。

自分にも相手にも、今まで一生懸命に生きてきた過去がある。そして今がある。"人を愛する・愛し合う"って、自分が思っているよりもうんと難しく、幸せなことばかりじゃない。

自分ではない他人を信じるのには、強さが必要です。過去をも受け入れる強さ。包み込む強さ。わたしも欲しいと常々思ってはいるのだけれど、。

そうそう、映画化もされたんだよね

いつか観たいと思っています。でもまだわたしの頭の中で、ツマとムコさんと、主演のお二人が合致してないので…一体いつになるのやら。

あと、小説は長編なので、夫婦を取り巻く人たちとの絡みや物語もとても面白いです。でも詳しく書くともう完全ネタバレになりそうなので、ここでやめておきます(もうすでにポロリしていてごめんなさい)

あ!でも1つだけ。小説の冒頭には「必要なもの」が箇条書きされています。そして最後にも。それを見ると、わたしはいつもギューっと心が締め付けられます。

人を愛するのに苦しみが伴わないはずがない。

また、近々読み返そうと思います。そして、わがままな自分を戒めて、誰かをまっすぐに愛したいと思います。

 

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